AIで「液体」を描く。美容液の一滴で、4つの動画生成AIを比べた
コンセプト広告『MĪN』の、美容液が肌に落ちる数秒のカット。同じ指示で4つの動画生成AIを比べ、最後は「ある設定」を外して答えにたどり着いた制作記録です。
ミニマル・コスメのコンセプト広告『MĪN』で、いちばん時間をかけたのは、わずか数秒のカットでした。
肌に落ちた美容液が、ゆっくりと広がっていく瞬間です。
液体は、AIがまだ苦手なもののひとつ
液体の流れ、表面張力、肌の上での広がり方。ここが少しでも不自然だと、映像は一気に「AIっぽく」なります。
コスメの広告なら、なおさらです。美容液のとろみや、肌へのなじみ方は、そのまま商品の説得力になります。一滴の動きが嘘っぽければ、ブランドの言葉も信じてもらえません。
『MĪN』は「引き算の美学」を描いたコスメのコンセプト広告。30秒版と15秒版を制作しました。
同じ指示で、4つのツールを比べた
同じプロンプト、同じ参照画像(最初のフレーム)で、4つの動画生成AIを試しました。結果は、まるで違いました。




同じプロンプト・同じ参照画像で生成した各ツールの、着地から広がり始める瞬間のキャプチャ。
大事なのは「どれが最強か」ではありません。とろみが欲しいなら Seedance か Veo、動きが欲しいなら Kling。表現したいものによって、選ぶ道具が変わります。
この時点で、私は Veo に「動きがやや不自然」という評価をつけていました。
参照画像を外したら、結果が逆転した
ところが、続きがあります。
Veo は、参照画像を読み込ませて生成していました。試しにそれを外し、プロンプトだけで生成してみたところ、液体の動きが自然になったのです。



同じ Veo 3.1 で、参照画像の有無とモードだけを変えた比較(いずれも同じ瞬間)。
普通は、最初の絵を固定したほうが「思いどおり」になるはずです。でも流体では、逆のことが起きました。始点を固定したことが、かえって液体の自然な動きを縛っていた。そう考えると説明がつきます。
さらに品質モード(Quality)に切り替えると、動きも質感も、もう一段美しくなりました。波紋の広がりが、いちばん豊かに出ます。
本編の『MĪN』で採用したのは、この「Veo・プロンプトのみ・Quality」のカットです。冒頭の映像がそれで、最後は4Kに仕上げています。
道具は「どれを使うか」より「どう使うか」
今回の制作で実感したのは、次の2つです。
- カットごとに、道具を選ぶ。 1本の映像を、1つのツールで作りきる必要はありません。液体のカットだけ、液体に強い道具で作り直します。
- 設定ひとつで、結果は化ける。 同じツールでも、参照画像の有無やモードで評価がひっくり返ります。
道具が増えるほど、仕上がりを決めるのは2つの目です。「何を表現したいか」を先に決める目と、カットごとに道具と設定を見極める目。
ブランドの映像で、妥協できないディテールはどこか。MINT JOURNEY は、そこから設計を始めます。
完成した『MĪN』は、作品紹介でご覧いただけます。